一般社団法人寒地港湾空港技術研究センター COLD REGIONS AIR AND SEA PORTS ENGINEERING RESEARCH CENTER

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会報『港のたより』

 Vol.57

就任ごあいさつ

(社)寒地港湾技術研究センター
専務理事 高橋 喜一

専務理事 高橋 喜一

 この度、平成13年2月26日に開催されました、第14回通常総会等で御承認いただき空席となっておりました専務理事に就任いたしました。

当センターは、昭和62年7月に運輸大臣から設立認可を受け、「積雪寒冷地の氷風雪・波浪の制御をはじめ、冬に強い港湾の整備を促進し、我が国の港湾の発展に寄与する」ことを目的として、様々な調査研究やシンポジュウム、海外事例研究などを活発に展開して参りました。なかでも、「紋別港氷海展望塔(オホーツク・タワー)」の計画や「サロマ湖流氷流入対策工(アイス・ブーム)」の設計、さらには「国後島古釜布港桟橋改修工事」の設計・監督業務などの極めてユニークな業務実績は、港湾関係者はもとより地域開発に関る方々にも、広く認識されるに至っております。

設立当初、私は北海道開発局港湾部の課長補佐をしておりましたが、当時新設された「技術活用パイロット事業」の関連で、当センターには寒冷海域における「水中コンクリート」の有効性に関する技術的検討を、東京大学の岡村甫先生に委員長をお願いして進めていただいたことを、唯一記憶しております。その後、平成元年から企画調整関係の担当が長かったこともあり、当センターとの関わりは薄かったわけですが、苫小牧東部開発に係る「食糧備蓄基地構想」や「石狩湾沿岸域開発基本構想」などの「自主研究」に参画させていただきながら、当センターが長期的な展望のもとに、広範・多岐にわたるプロジェクトを提案され、将来の港湾整備や地域開発のためのメニューを着実に蓄積されていることを垣間見ておりました。そして、今般、縁あって当センターの役員に就任したわけですが、改めて責任の重さを痛感し、身の引き締まる思いでございます。会員皆様の御指導と御支援をお願い申し上げる次第です。

さて、話は変わりますが、昨年12月、運輸省港湾局では、経済・社会のグローバル化や資源の有限性の問題、環境意識の高まりなど、我が国を取り巻く社会経済情勢の変化に対処することとして「新世紀港湾ビジョン~暮しと海を世界に結ぶみなと~」を策定したところです。これによれば、全国的・広域的観点での効率性を確保し、かつ、地域の個性や主体性を発揮するためには、国と地域が適切に役割分担すること、「国と地域のパートナーシップによるみなとづくり」を基本的な取り組み方針としております。

また、本年1月には、中央省庁再編の一環として、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省を母体に「国土交通省」が発足したところであり、統合メリットを活かし、国民の視点に立って、より質の高い行政サービスを、より低コストで、より早く提供することを目指し、国民に開かれた行政運営を図ることとされております。

さらに、本年4月に、運輸省港湾技術研究所や北海道開発局開発土木研究所が、従前よりも経済性・採算性重視の独立行政法人として再出発いたしました。そして、今後の効率的な技術開発体制の確立にあたり、運輸技術審議会答申(平成12年12月)では、独立行政法人を中核的研究拠点(COE)として民間、大学、外国研究機関との有機的連携の強化を図るなど組織・人材・資金・施設等の効率的活用に努めることの必要性が報告されております。

このように、新しい世紀を迎えた今日において、経済社会情勢の変化に適切に対処するためには、港湾社会を巡る大きな潮流の変化を直視し、国民生活の向上と地域経済の発展、効率的な行政サービスの提供と役割分担などを総合的に勘案した新しいシステムの構築が喫緊の課題となっております。当センターとしては、これらの動向をふまえ、関係行政機関や研究機関との連携を図りながら、これまでの調査研究成果を基盤として、積雪寒冷地港湾の機能の高度化と広い意味での技術的課題を克服したサービスコストの縮減策の検討を着実に進めて参りたいと考えております。

会員の皆様には宜しく御指導と御支援のほど、重ねてお願い申し上げ、就任のご挨拶と致します。

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